「あなたの人生の物語」を読んで
まるでツリのように、帯には映画「メッセージ」のことしか書いてない。
けど思わず手にとって、何も考えずに買って読んだ。
なんと、これはかなり面白いぞ!
僕的には、一番衝撃を受けたのは「理解」だった。
どこまでも知能が上がっていく主人公の感覚の描写に、頭がクラクラしてくるし、
超越者同士の戦いの描写に、全く理解がついていけないのに目が離せないといった超常感とリアリティの際のようなものを見せられている感じがした。
なにより、読む前と読後のビフォアアフターがあった。
一時的だけど見るもの感じるものが明らかに変わるあの感じ。
不思議な視点をこの作者に感じる。
センス・オブ・ワンダーと作者がいっているものなのだろうか。
それは、ぼくが見ている世界から別な世界へと感覚を誘おうとしてるかのごとく。
しかも、それに使うものが古典から最新の科学技術といったもので、なんというか地に足がついてるように綴られている。
でも、この短編集に共通で表になったり底になったりしているものがある。
それはイメージから数式や文字までの抽象的な意味での「言語」だ。
この言葉というツールが思考を形作っている。
だとしたら言語が知性をデザインして文化に形を与えている。
つまるところ、言葉のように因果を持ったシーケンシャルな連なりだけが、ぼくたちの住んでいる現実の世界。
でも、そのように限定されたぼくらの現実世界は、無限にあるレイヤーのたった一つにしか過ぎないのかもしれないよ。
と作者が言ってるのかもしれない。
そして、作者はこう言ってるように思ってる。
「ぽくはその先の、あるいは外の世界を感じているんだ、それは言葉で表現できない。でも物語でなら表現できるかもしれない。しかも面白く!」
ああ、これが作者のいう「センス・オブ・ワンダー」なのかな。
ビフォアアフターにセンス・オブ・ワンダーあり!?